2016年6月23日木曜日

[ロンドン 22日 ロイター]焦点:瀬戸際の世界経済、市場が注目する「1930年代の教訓」

[ロンドン 22日 ロイター] -

世界で保護貿易主義やナショナリズムが台頭し、グローバル化の退潮をめぐる不安が再燃している。だからこそ国際貿易が大きく停滞した1930年代に何が起きたかについて、改めて市場の注目が集まっている。

英国が23日実施する欧州連合(EU)離脱を問う国民投票がこうしたムードを助長している。

国民投票でブレグジット(英国のEU離脱)が決まればもちろん企業活動や国際貿易は打撃を受けるだろう。世界経済は薄氷を踏むような状況で、テールリスクがもたらすショックを吸収する余力を持ち合わせていないからだ。

だが国際貿易やさえない経済成長、投資リターンの減少に対する幅広い懸念が2007─08年の金融危機以降ずっと消えずにくすぶっている以上、英国がEUに残留すれば、事態は良くなるかと言えばそう単純な話にもならない。

貿易が拡大しないため、世界経済は過去10年で2回目の景気後退に陥るかどうかの瀬戸際に立たされている。成長率は、大方のエコノミストが1人当たり国内総生産(GDP)を安定させる上で必要とみている2.0─2.5%をかろうじて上回る状態だ。

オランダ政府の統計機関によると、世界の貿易額の伸びは今年3月までの3カ月平均が前3カ月比でマイナスに転じた。残念ながらこれは単なる季節的な動きではない。スイスの資産運用会社ピクテの分析では、昨年の世界の輸出入額は09年以降で最大の落ち込みを記録し、09─15年の平均伸び率は3%と、それ以前の25年間の平均の半分にとどまった。

外国直接投資(FDI)は、世界のGDPの2%とやはり1990年代以来の低さで、信用バブル崩壊の後遺症がある金融セクターを見ると国境をまたぐ銀行融資額の年間伸び率は08年までの10年間の半分まで鈍化している。

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