2016年9月12日月曜日

[東京ロイター 9日]コラム:国債購入の柔軟化目指す日銀レトリック=河野龍太郎氏

[東京ロイター 9日] -

5日の黒田東彦日銀総裁講演、8日の中曽宏日銀副総裁講演から見えてきたのは、長期国債ターゲットを柔軟化させるための理由づけだ。金融緩和のコストを強調することで、物理的な限界論とは異なる、金融政策の枠組み変更のためのレトリックが固まってきたように思われる。

想像力を働かせながら講演を読み返すと、以下のような解釈が可能なのではないか。

<レトリックとしては金融仲介機能への配慮>

●「量的質的金融緩和(QQE)」「マイナス金利」はともに効果は大きいが、今後も強力な政策を追求していくと、その副作用として、イールドカーブの大幅なフラットニングなどで金融機関の収益に悪影響が及び、金融仲介機能が損なわれる懸念がある。金融緩和の効果を最大限発揮させるには、こうしたコストにも配慮する必要があり、今後、イールドカーブの極端なフラットニングを避けなければならない。

●その対応策として、具体的には、長期国債購入ターゲットを柔軟化させる必要があり、長期国債の購入量や購入年限を機動的に変化させる。購入量や購入年限を柔軟化させるのは、あくまで金融仲介機能に配慮するためであって、長期国債購入ターゲットが物理的な限界に近づいたからではない。

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