2016年10月26日水曜日

(日経電信版25日)日立、IoTが人の動き分析 最適な作業方法探る

(2016年10月25日 日経電信版より)

日立製作所は25日、あらゆるモノがネットとつながる「IoT」を使う効率生産システムを確立したと発表した。ICタグやカメラを使って装置や製品だけでなく、ヒトの動きも捉えるのが特徴。膨大なデータを人工知能(AI)で解析し、最も効率が良い作業方法を導き出す。すでに電力機器の生産期間半減に成功しており、新システムを社外にも売り込む。

 「扉の取り付けで垂直、水平を気にしすぎだ」。2400人が働く日立の大みか事業所(茨城県日立市)。発電所や上下水道向けに出荷する巨大な制御盤の生産ラインで、ある検証データを示された作業員は驚いた。よかれと思って心がけていた細やかな作業が、逆に納期短縮の妨げになるというのだ。

 部品や仕掛かり品を収める箱や棚に貼り付けたICタグは合計8万個。これでモノの流れを捉え、滞っていたり、問題が起きたりする工程を洗い出す。車輪付きの設備に載った高性能カメラが動き回り、効率が悪い工程で働く作業員の詳細な動きを画像に収める。

 こうして集めた膨大なデータをAIで分析し、最適な組み立て方法や手順、作業姿勢を導き出す。「ムダなところにこだわりすぎていた」。熟練ぞろいの作業員でも気付かない改善点が分かることも多いという。

 効果ははっきり出た。大みか事業所でIoTを使った生産改革を始めたのは昨年4月。主力の発電所向け制御盤は生産期間を180日から90日に半減した。少量多品種で、手作業が多い大型機器の生産ライン全体をIoTで効率化できることを実証したのは珍しい。

 同様のシステムを鉄道や重機、医療機器向けに売り込む計画。2018年度に生産システムや関連機器の受注を4千億円上積みするのが目標だ。

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